植物講座2022プログラム詳細

植物講座の内容は毎年ブラッシュアップしています。特に「New」と書いてある講座は今年初めて開催する内容となります。

①葉

①葉 -New-

植物は生きていくための栄養を自分で作り出すことができます。

植物は降り注ぐ太陽の光を葉で受け止め、光合成をすることで生きるための養分を作り出すので、植物にとって「葉」はとても大切な器官です。

また植物はどのような仕組みで根から水を吸っているのでしょう。植物が水を吸うためには、葉の存在がとても重要です。

太陽の光をできるだけ効率的に利用するための様々な工夫や、根から水を吸い上げるための仕組みが、葉には表れています。

この講座では葉から見る、植物の生きる工夫についてお伝えします。

プログラム(予定)

・葉序の仕組み~葉の並び方にはわけがある

・光を集めるために~葉の構造と背腹性

・葉はなぜ緑色なのか~植物に必要な光の種類

・根に繋がる葉の働き~植物はどのように根から水を吸っているか

など

②花

②花

花にはなぜ特有の色と形があるのか。

早春に咲く花はなぜ黄色が多いのか。

植物はどのタイミングで花を咲かせようと思うのか。

知っているようで知らない花の世界。

花の中には、植物の何億年もの進化の歴史が凝縮されています。

私たちの目を楽しませてくれる花の色は、何億年も昔に、植物が海から陸に上陸したときに植物が陸上のストレスから身を守るために獲得した、生きていくための成分の色です。

花の存在そのものも、植物が生きていくために獲得したもの。

植物の生き方を知るとそれまで見ていた植物が全く違った存在に見えてきます。

●プログラム(予定)

・植物の誕生と花の誕生

・植物は季節を先読みする

・花の咲く時を決めるもの~フィトクロムとクリプトクロム

・葉から花へ~フロリゲン

・花は葉からできている~ABCモデル

など

③ 根

③根 -New-

花を愛でる人は多いですが、「根」は、地中にあるためなかなか注目されることが少ない器官です。

根は必ず重力の方向に向かいます。つまり根は重力を感知する仕組みを備えているのですが、その仕組みは人間が重力を感知する仕組みと驚くほど似ています。

そんな内容も含めて、植物にとってとても大切な器官「根」について深めていく講座です。

プログラム(予定)

・色々な根

・根の構造と働き

・根が生まれるところ~根端分裂組織

・根を成長させるもの、側根の形成~オーキシン

・根は重力を感じている~アミロプラスト

など

④ 実と種

④実と種

タネはいつ発芽するのでしょう。

タネは芽生えたところで生きていけるのかをとても合理的に判断しています。

あの小さなタネの中には遺伝情報や、生きていくための知恵がたくさん詰まっています。

「実と種」では、タネが発芽する判断をどのようにしているのかというお話や、発芽後に生きていくために必要な太陽のある方角に向かう仕組みについてお伝えします。

プログラム(予定)

・眠る種~アブシシン酸とジベレリン

・発芽のタイミングを決めるもの~フィトクロム

・種の発芽 大事な体を守るために~フックとエチレン

・オーキシン~光の方へ

など

⑤
受粉と受精

⑤受粉と受精

おしべとめしべが同じ花の中に同居している花でも、その半数以上は自分の花粉を受け入れることはしません。

花粉がめしべに付けば種ができるというわけではなく、その花粉が自分と同じ遺伝子を持っているか持っていないかを植物は判断しています。そしてそこから実際に種ができるまでの仕組みは私たち人間と驚くほど共通点が多いです。

「受粉と受精」では、植物が命を繋いで、なおかつ多様性を確保していくための仕組みについてお話します。

プログラム(予定)

・種の多様性を確保するために~自家不和合性

・確実に種を作るために~花粉管ガイダンス~

・重複受精~命の基の遺伝子と、栄養を確保するための遺伝子

など

⑥
植物のボディプラン

⑥植物のボディプラン -New-

植物と動物の体の違いは何でしょう。

たくさんの臓器を持つ動物に比べると、植物は、植物学的には「根、葉、茎」の3つの器官しか持っていません。

この単純な構造ゆえに植物は葉を少々失っても新しい葉を作り、芽を食べられてもその一番近くの芽がまた出てくるという生き方ができます。

この講座では、種から芽生えた幼い植物がどのように体の構造を獲得していくかについてお伝えします

プログラム(予定)

・植物の胚発生

・意図を持った体の形~オーキシンの極性輸送

・植物の成長する仕組み~浸透圧と膨圧

など

⑦
植物の可塑性と環境応答

⑦植物の可塑性と環境応答 -New-

動かないことを選んだ植物は、芽生えた環境で生きていくためのたくさんの仕組みを持っています。

植物は、光が弱いところで芽生えれば、光の方に向かっていく仕組みを、葉にあたる光が強すぎるときには光をよけるような仕組みを持っています。

これは植物が環境に応じて体を変化させる仕組みを持っているということで、植物が動かないからこそ獲得した能力ともいえます。

この講座では、動かないことを選んだ植物が、芽生えた場所で生きていくために獲得した様々な仕組みについてお伝えします。

プログラム(予定)

・陰から脱出するために~被陰反応

・強すぎる光を除けるために~葉緑体の定位運動

・備えあれば憂いあり~進化の合理性

⑧植物と動物

⑧植物と動物 -New-

植物は動物からの被食を避けるためにトゲや毒をもつようになり、動物はそれを解毒できるような機能を持つようになりました。

また、植物は動物に蜜を提供する代わりに花粉を運んでもらったり、動物も植物から果実をもらう代わりに種の散布を手伝いました。

このように植物と動物は互いに競争しあったり、反対に利益を交換しあうなど、お互いに影響しあいながら共に進化してきました。

この講座では、太古から植物と動物が互いに影響しあいながら進化することで多様性を獲得していったというお話を中心にお伝えします。

プログラム(予定)

・植食性昆虫の多様性

・植物と昆虫の競争

・送粉共生

・種子共生

⑨
植物と植物

⑨植物と植物 -New-

植物同士は光をめぐる競争を常に繰り広げてきました。長い競争の歴史の中で、進化が起こり、その競争に勝つ植物が現れてきました。

中には植物でありながら自分が生きるための栄養を自分で作り出さず、他の植物に依存するようなユニークな植物も現れました。ただしこれは全くの依存というわけでもなく、お互いの植物にとっての利点もあります。

この講座では、植物と植物が競争しあいながら共に進化してきた歴史や、なかでも風変わりな独自の進化を遂げた植物なども織り交ぜてお伝えします。

プログラム(予定)

植物同士の相互作用

光をめぐる競争

地面から立ち上がるために~維管束の発達

⑩
植物のコミュニケーション、植物と微生物

⑩植物のコミュニケーションと植物と微生物

原初の植物が海の中で誕生し、やがて陸に上がったとき、そこは植物にとっては生きにくい場所でした。陸で生きていくために植物は様々な菌の助けを借りて生き延び、それから植物と菌との関係は今でも続いています。

また、植物は地上でも地下でも周囲と巧みにコミュニケーションをとっています。

この講座では、植物ホルモンによる植物のコミュニケーションと、菌を介した植物のコミュニケーションを中心にお伝えします。

プログラム(予定)

周囲に危険を知らせるために~ジャスモン酸とサリチル酸

菌を呼び寄せて小さく生きていく~ストリゴラクトン

植物と菌との共生関係~根粒菌、菌根菌